西あまりの第2作「真幸くあらば また還り見む」の連載が始まりました。
これは、万葉集にある有名な有間皇子の和歌の後半部分であり、この題名でも分かるように、有間皇子を主人公にした作品です。読書好きで物静かな父親から生まれた赤ん坊は、今後どのような運命をたどるのか、続きが待ち遠しく思われます。
岡本晶の第2作「湖昏れるとき」は、中盤にさしかかり、いよいよ古代最大の内乱、“壬申の乱”の気配が濃厚に漂い始めます。父親と夫とが覇権を争う悲劇の中、十市はどのように身を処していくのか・・・。奇しくも2人の作品の背景がほぼ同時代になっています。混沌としたこの時代、人々が何を思い、どのように生きようとしたか、現代人にはうかがい知れませんが、西も岡本も、能うる限りの想像力を働かせて挑んでおります。