西あまりの「サヘートマヘート・舎衛の女」は完結しました。啓子は新しい一歩を踏み出すのでしょうか。遠い飛鳥の世に天竺からやって来た女は、最後はこの極東の地で果てたのか、それとも念願だった玄奘三蔵に会うことが出来たのか。何かしら、まだまだ読者としては想像をかき立てられる最終章です。
岡本晶の「湖昏れるとき」は、まだ道半ばにも達しておりません。主人公の十市皇女は大友皇子の子を身ごもり、母として、女としての喜びを抱きます。ただ、それとはうらはらに彼女の周囲に立ちこめる暗雲は、だんだんとその濃さを増しつつ広がって行くのです。